ハトと歓声と美大生

美大生らしくない一般人の日常をつらつらと書く

4.途中経過と美大生

授業が始まった。

しかし、僕はまだ、第一志望の大学に受かってさえ悩みが尽きることはなかった。

友人関係も困っていないし、大きなミスもしていない今の現状に文句や悩みがあるのは贅沢なのだろうけど、以前からの僕の悩みであるコミュニケーション能力は高校3年生の時とたいして向上せず、口下手は相変わらずだ。

 

ただ、最近僕がコミュニケーション能力の面で悩むことよりも、美大にいる人間たちに不満がある。

それは誰々の性格が悪いとか、変わった人が多いとか、そういうことではない。というより、もっと変わっていて欲しかった。

 

そう、最近思うのはそこだ。

 

美大に入って僕はぐちゃぐちゃで混沌とした色彩の中に飛び込んでいたと思っていた。クリエイティブな人たちがそこらじゅうにいて、僕は圧倒されて、自分の色彩が他の色彩に犯されるくらいにめちゃくちゃにされるんだと思っていた。

しかしどうだろう。今現在で、強烈で、ビビッドな色彩を持った人が、周りにいるだろうか。

 

もちろん、アイデアや造形のセンスなどは素直に凄いと思える人はいる。僕よりも当然のようにセンスがあって、ものすごく羨ましい。が、人間的な魅力に溢れた人が身の回りにいない。

もちろん僕が人間的な魅力に溢れているわけでもなくて、僕が望んでいるのは実に他力本願的な思考だ。

圧倒されたいのだ。

もっと人間的な強烈な魅力を持った人に。